2020年12月04日労働者協同組合法案の可決・成立に対する談話日本労働組合総連合会事務局長 相原 康伸
1.労働契約締結の義務づけと労働関係法規の適用明確化
12月4日、労働者協同組合法案が、参議院本会議において与野党の賛成多数で可決・成立した。同法案は、組合員が出資し、意見を反映して事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とする労働者協同組合の枠組を法的に整備しようとする議員立法である。労働者協同組合には、代表理事、専任理事および監事以外の組合員との間で労働契約を締結することが義務づけられ、組合員に労働関係法規が適用されることが明確化された。
2.労働関係法規が適用されるとの立法者意思が示されたことは重要
同法の立法化の過程においては、組合員の労働者としての権利の保障が論点となってきた。近年、労働者協同組合と同様の原理を有する企業組合の組合員について、出資し、運営し、働き、共同で事業を行っていたことを理由として、労基法上の労働者に該当しないとする裁判所の判断が示されたこともあり、労働者協同組合の組合員の労働者性も否定されかねないとの懸念があった。この点について、国会審議において、労働者に該当するか否かは個別事案の具体的実態に応じて判断されるとしつつ、一般的には労働契約を締結した組合員全員に労働関係法規が完全に適用されるとの立法者意思が示されたことは重要である。
3.連合は、働く者の権利を守る立場で意見反映に努める
今後は法律の施行に向けて、厚生労働省令および指針の議論が労働政策審議会において行われることとなる。剰余金の配当や民主的な組織運営のあり方など、国会審議で指摘された課題や問題点について議論を尽くすとともに、法施行後は法の目的と立法者意思を踏まえた適正な運用を徹底することが求められる。連合は、働く者の権利が守られるようにするとともに、労働者協同組合が不当に悪用されることなく、地域社会と働く者にとって意義のあるものとなるよう、意見反映に努める。
以 上